目次
定期借地権の種類は?
定期借地権には、
- 一般定期借地権
- 建物譲渡特約付き借地権
- 事業用借地権
の3種類があります。
一般定期借地権
借地期間を50年以上とすることを条件として
a. 契約の更新をしない
b. 建物再築による期間の延長をしない
c. 期間満了による建物の買取請求をしない
という3つの特約を公正証書などの書面で契約をすることで成立します。
旧法借地権のもとでは、この3つの特約はいずれも借地人に不利な契約として借地法上は無効とされていましたが、新借地借家法の定期借地権に限りこの特約が有効とされました。
この3つの特約をすることで借地権は更新されることなく終了し、土地は更地で返還されることになります。
第22条(一般定期借地権)
存続期間を50年以上として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第1項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。引用:国土交通省
事業用定期借地権
もっぱら事業の用に供する建物の所有を目的に、存続期間を10年以上50年未満として契約する場合には、一般定期借地権と同様に、契約の更新、建物再築による期間の延長、期間満了における建物買取請求権が適用されないとするものです。
第23条(事業用定期借地権等)
専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
2 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合には、第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、適用しない。
3 前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。引用:国土交通省
建物譲渡特約付借地権
借地権設定後30年以上経過した日に、地主が借地人から借地上の建物を買取ることを約束した借地権です。借地権を設定する際に借地権を消滅させるため、30年以上経過した日に相当の対価で借地上の建物を地主に譲渡する旨の特約を結ぶことで、この借地権が設定されます。将来の建物の買取りに関しては、所有権移転の仮登記などをしておく必要があります。
建物譲渡特約付借地権を設定する場合は、特に書面による必要はなく口頭でも可能とされますが、将来の紛争予防のためにも書面による契約書をつくることが望ましいです。地主が建物を買取った場合、借地人または借家人がそのまま建物を利用したいという場合には、借家契約の関係でその建物を借家として貸すことになります。平成12年に登場した定期借家契約を活用することで、期限を定めた借家契約とすることで安心して建物も貸すこともできます。
この建物譲渡特約付借地権は、地主が借地人から建物を買取ることで借地権が消滅しますが、建物の維持管理状態が良くないなどの理由から、地主が建物の買取りを止める選択をすることも考えられます。その場合、借地権は消滅することなく継続することになります。
一般定期借地権または事業用定期借地権(30年以上)との併用をすることで、地主が建物買取予約の権利を行使しない場合には、一般定期借地権または事業用定期借地権の契約期間満了で借地権は消滅します。借地人が建物収去し、更地で返還することになります。
第24条(建物譲渡特約付借地権)
借地権を設定する場合(前条第2項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第9条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後30年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。
2 前項の特約により借地権が消滅した場合において、その借地権者又は建物の借地人でその消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物につきその借地権者又は建物の借地人と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借(借地権者が請求をした場合において、借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借)がされたものとみなす。この場合において、建物の借賃は、当事者の請求により、裁判所が定める。
3 第1項の特約がある場合において、借地権者又は建物の借地人と借地権設定者との間でその建物につき第38条第1項の規定による賃貸借契約をしたときは、前項の規定にかかわらず、その定めに従う。引用:国土交通省