最近、マンションなどで「一括受電」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。電気料金がお得になる、というイメージはあるものの、詳しい仕組みまでは知らないという方もいらっしゃるかもしれません。今回は、そんな「一括受電」について、わかりやすく解説していきたいと思います。
一括受電とは?
一括受電とは、マンションなどの集合住宅において、電力会社と管理組合などが一括で高圧電力の受電契約を結び、各戸へは管理組合などから低圧電力が供給される仕組みです。
通常、一般家庭では低圧電力の供給契約を結んでいますが、事業者向けの高圧電力供給契約の方が、電気料金の単価が安く設定されています。この単価の差を利用し、マンション全体で高圧契約を結ぶことで、各戸の電気料金を削減できるというのが一括受電のメリットです。
一括受電の仕組み
発電所から送られてくる高圧の電気は、変電所を経由し、マンションの敷地内にある受変電設備(キュービクル)で低圧に変換されて各戸に供給されます。通常、この受変電設備は電力会社が管理していますが、一括受電の場合は管理組合などが管理することになります。
つまり、マンション全体が一つの大きな需要家として電力会社と契約することで、電気料金の割引を受けられる、という仕組みです。
一括受電のメリット
- 電気料金の削減: 最も大きなメリットは、各戸の電気料金が安くなることです。高圧電力の単価が低圧電力よりも安いため、マンション全体で電気料金を抑えることができます。
- 共用部分の電気料金削減: エントランスや廊下などの共用部分の電気料金も削減できます。
- 電力使用量の見える化: スマートメーターの導入により、各戸の電力使用量をリアルタイムで確認できるようになる場合があります。これにより、節電意識の向上も期待できます。
一括受電のデメリット
- 導入時の費用: 受変電設備の設置や改修など、導入時に費用がかかる場合があります。
- 契約期間の制約: 電力会社との契約期間が長期にわたる場合が多く、途中で解約しにくい場合があります。
- 管理組合の負担増: 受変電設備の管理や電力会社との交渉など、管理組合の負担が増える可能性があります。
- 入居者全員の同意が必要な場合がある: 一括受電の導入には、マンションの管理規約によっては入居者全員の同意が必要となる場合があります。
一括受電導入の注意点
- 長期的な視点での検討: 導入費用や契約期間などを考慮し、長期的な視点でメリットとデメリットを比較検討することが重要です。
- 複数の電力会社からの見積もり: 複数の電力会社から見積もりを取り、条件を比較検討することが望ましいです。
- 管理組合の合意形成: 管理組合内で十分に議論し、合意形成を図ることが重要です。
まとめ
一括受電は、マンション全体の電気料金を削減できる可能性のある有効な手段です。しかし、導入には費用や管理の手間なども発生するため、メリットとデメリットを十分に理解した上で、導入を検討することが大切です。
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