不動産の取引や日常生活の中で、時折耳にする専門用語。今回はその中から「囲障(いしょう)の設置」という言葉にスポットを当てて、わかりやすく解説していきます。隣の家との境界線にまつわる大切なルールなので、ぜひ覚えておきましょう。
囲障って何? 具体例で解説
「囲障」とは、簡単に言うと、隣地との境界に設けられた仕切りのこと。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 塀(へい): コンクリート塀、ブロック塀、レンガ塀など
- 垣根(かきね): 生垣、竹垣など
- 柵(さく): フェンス、ネットフェンスなど
これらの囲障は、プライバシーの保護、防犯、境界の明確化など、様々な目的で設置されます。
囲障の設置とは? 民法で認められた権利
「囲障の設置」とは、所有者を異にする建物同士の間に空き地がある場合に、その境界に囲障を設置することを指します。これは、民法で認められた権利(囲障設置権)に基づいています。
具体例を挙げてみましょう。
- Aさんの家とBさんの家の間に空き地がある場合、AさんとBさんは共同で費用を出し合い、その境界に塀を設置することができます。これが「囲障の設置」です。
囲障設置権(民法225条)のポイント
民法225条では、囲障の設置について以下のように定めています。
- 共同設置の権利: 隣接する土地の所有者は、共同の費用で境界に囲障を設けることができる。
- 費用負担の原則: 囲障の設置費用は、原則として隣地所有者同士で等しい割合で負担する。
- 囲障の種類と高さ: 囲障の種類や高さは、隣地所有者同士の協議によって決めることが望ましい。協議がまとまらない場合は、「板塀または竹垣その他これらに類する材料で、かつ、高さ2メートルのもの」と定められている。ただし、各自治体の条例や地域の慣習などによって異なる場合もある。
つまり、囲障を設置する権利は法律で認められており、費用も原則として折半になるということです。
囲障設置の注意点とトラブル回避策
囲障の設置は、隣人との関係に影響を与える可能性もあるため、以下の点に注意し、トラブルを未然に防ぐことが重要です。
- 事前の協議が最重要: 囲障を設置する前に、必ず隣地所有者と十分に協議し、合意を得るようにしましょう。口約束だけでなく、書面で合意内容を交わしておくとなお良いです。
- 費用の分担は明確に: 費用の分担割合については、事前に明確に合意しておきましょう。後々のトラブルを防ぐためにも、書面に残しておくことをお勧めします。
- 法的規制の確認: 各自治体の条例や建築基準法などによって、囲障の高さや材質などに制限がある場合があります。事前に確認しておきましょう。
- 境界線の確認: 囲障を設置する前に、境界線を正確に確認することが重要です。必要に応じて、測量士に依頼して境界を確定してもらうことをお勧めします。
まとめ
「囲障の設置」は、隣地との良好な関係を保ち、快適な住環境を維持するために重要な権利です。不動産取引や日常生活の中で、この用語の意味をしっかりと理解しておきましょう。
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